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〝グリーン〟成長戦略を力強く前進 福岡県・服部知事


週刊経済2024年12月25日発行号

2期目の知事選に挑戦

福岡県の服部誠太郎知事は、本誌新年号取材に応じ、“グリーン”をキーワードに成長産業について力強く前進していることを強調した上で、「この歩みを止めてはならないとの思いで出馬を表明した」と次期知事選への思いを述べた。

―2024年を振り返って

服部 コロナ禍から脱却し、人流、物流がさらに回復したことを実感できた1年だった。特に人流という点では国内もさることながら、インバウンドについてもコロナ前に比べて宿泊客が4割増と活発に推移、経済も動き始めた。国際情勢や円安の影響などによる原材料価格の高騰が見られる一方、「新生シリコンアイランド九州」といわれるように、半導体関連の設備投資が福岡県を含めて活発化したことも印象的だった。

―成長産業の振興について。

服部 今日、世界的にもカーボンニュートラルに向けた取り組みが求められており、従来の産業構造を転換する時期に差しかかっている。こうした状況を踏まえ、「世界から選ばれる福岡県」を実現するため、「グリーン」をキーワードにした3つの新たなプロジェクトをスタートしている。一つ目は「水素」。生成過程においても二酸化炭素を排出しない水素、「グリーン水素」の供給拠点づくりを進めている。国は水素の需給ポテンシャルが高い地域を「水素供給拠点」に指定し、集中的に支援する方針だが、私たちは北九州市の響灘臨海エリアを中心に水素の大規模拠点を構築していきたい。同時に低炭素水素の輸入に向けて、調達先の確保にも取り組んでいる。グリーンデバイス(半導体関連)では、世界的にトップシェアを誇る企業を含めて約400社の関連企業が集積している。こうした中、台湾・高雄に本社を置く後工程大手のASEが北九州市への進出を検討している。すでに土地の仮契約を結んでいる。武内市長とタッグを組み、正式な誘致を実現させていきたい。また、米国・アリゾナ州に本社を置き、ASEに次ぐ世界2位のシェアを誇るアムコー・テクノロジーが国内初となる設計開発拠点・R&Dセンターを福岡市に開設することを発表したほか、三菱電機パワーデバイス製作所がグリーンアジア国際戦略総合特区を活用し、低炭素のパワー半導体・SiCパワー半導体モジュールの組立て、検査を行う新工場の建設に着工するなど、関連企業の進出や設備投資が活発化している。こうした動きは、電気自動車や自動運転技術の普及により半導体の需要が大きい自動車産業にもプラスの影響が出てきている。実際、トヨタ自動車、日産自動車はEVバッテリー工場を県内に進出している。次世代自動車の一大拠点が形成されることになり、環境と経済の好循環を作り上げていきたい。バイオについては、久留米を中心に約250社のバイオ企業が集積しており、特に創薬、再生医療の分野で優れた技術を持つ九大発のバイオベンチャーが生まれてきている。こうした企業の海外展開を後押しするため、新たなネットワークづくりにも取り組んでいる。

―次期知事選出馬について。

服部 これまで取り組んできた各施策をさらに前に進め、充実させるため、この歩みを止めてはならないという思いで出馬を決意した。ふるさと福岡をさらに飛躍、発展させ、県民の皆さんが「ここに住んで良かったなあ」と笑顔で実感いただける福岡県を作っていきたい。